那覇市医師会報

那覇市医師会報 2013年新春号

那覇市医師会報表紙

2013年 新春号
(平成25年1月発行)


けいわクリニック 院長
豊田 和正

《表紙のことば》
「父の干支の色紙絵」

 この癸巳(みずのとみ)の色紙絵は96歳の父・弥太郎が描いた「絶筆」です。毎年、正月に親戚や親しい知人に干支の色紙絵を贈るのが父の楽しみでした。年末年始に描くのが慣例でしたので、昨年12月に父が他界したため、今年からは干支の絵をクリニックに飾ることはできないと諦めていました。しかし、葬儀の後に今年の干支の絵があると聞き、感極まり目が潤みました。父は自分の死を覚悟していたのか、10月にこの絵をすでに完成させていたのです。

 「70の手習い」から町の公民館の水彩画教室で嗜み始めた趣味の絵画に心を傾け、90歳過ぎても矍鑠(かくしゃく)としていた父は、地元の埼玉県で知事賞・特選など数々の賞をいただきました。代表作品のひとつは秩父美術館に所蔵されるほどの腕前になり、絵画を楽しむ余生を送りました。父の人生を振り返ると、人は誰も高齢になってさえも、どこかでステージを変え、新しい自分に出会うことができるものだと思えます。

 本年が皆々様にとって、巳年にあやかり脱皮して、さらなるステージを目指していける「福寿」の年になることを祈念いたします。

那覇市医師会報 2013年新春号
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