那覇市医師会報表紙
2007年 新年号(平成19年1月発行)
那覇民主診療所 上原 和博
《表紙のことば》
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「うんじょー、ぬーぬちゅ、やいみせーが?」
「来年はどんな干支を描くの?」「楽しみにしているよ」
師走を迎え年の瀬も押し迫ってくると、周囲の患者さんからしきりにこんな声がかかります。そもそも7年前の辰年に年賀状用にと、見よう見まねで墨で「龍」を描いたのが、私の「干支シリーズ」の始まりでした。暗い世相のおり、天空から舞い降りてきで眼光鋭く人間社会を睨みつける龍をイメージして描きました。墨は一度筆を下ろすと修正が効かない反面、力強い動きのある筆跡が得られ、躍動感のある動物などを描くのに最適です。たまたまこの龍をポスターにして診療所内に展示したところこれが好評で、以来病みつきに。希望する患者さんにはコピーで良ければと差し上げています。
ところで外来には年配の患者さんが多いのですが、私は診察の合い間に「うんじょー、ぬーぬちゅ、やいみせーが?」と一言かけるようにしています。この一言で張りつめていた診察室の空気が瞬時にしてほぐれ、患者さんの顔に安堵感にも似た笑顔が浮かんできます。これは診察をなごやかに進めるのにとても役に立ち、私の「干支シリーズ」の予期せぬ一番の効用でした。
さて、今年は亥(いのしし)年。出来ばえは?と問われて...。おっと、もう亥の刻。私の話もここまで。
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